LIAISON シニア・アドバイザー サバウヌ博士の早稲田大学における講演報告
LIAISON シニア・アドバイザー サバウヌ博士の早稲田大学における講演報告
ベンダー コナー
2023年8月10日、サバウヌ・ウリシュミン博士は早稲田大学心理学科の竹村和久教授のセミナーにおいて、早稲田の学生約30人にポリオに関する講演を行いました。
講演では、サバウヌ博士は、史上最大の公衆衛生のパートナーシップである「世界ポリオ根絶推進計画 (GPEI:Global Polio Eradication Initiative)」を紹介しました。このイニシアティブは世界中の国や企業から何十億米ドルもの投資を受け、ポリオを完全に根絶することを目指しています。GPEIが1988年に発足された当時、ポリオは約125カ国で存在していましたが、現在ではポリオの発症率は99%も減少し、アフガニスタンとパキスタンの2カ国のみが流行しています。アフガニスタンはサバウヌ博士が30代まで暮らした故郷でもあり、当日の講演では現地のポリオ根絶状況について取り上げられました。博士はかつてアフガニスタンのポリオHigh Councilの一員として重要な役割を果たし、現在はLIASONと日本の国会議員と連携して、ポリオ根絶の推進に国内から取り組んでいます。
また、サバウヌ博士は古代エジプトにまで遡るポリオの発祥や疫学的背景についても説明しました。ポリオの種類(3種類ある中で、地球上にはタイプ1のみが存在)、感染経路(糞口経路と経口感染)、感染後の様々な症状などを取り上げ、さらに、ワクチンの製造プロセスについても掘り下げました。不活化ポリオワクチン(IPV)はポリオウイルスから免疫を作るのに必要な成分を取り出し、病原性をなくしてつくるものです。一方、生ワクチン(OPV)は病原性を弱毒化させてつくられたもので、どちらも疾患の拡散を抑制するために重要な役割を果たしていることを説明しました。ポリオを世界規模で根絶するための解決策は、人口全体のワクチン接種が鍵となることを述べました。
最後に、サバウヌ博士は現在の世界情勢についても触れました。ポリオの患者数が大幅に減少していることを述べ、2022年から2026年までのGPEIの戦略に焦点を当てました。サバウヌ博士は2021年にタリバンが政権に復帰した後、安全保障、資源抽出、麻薬制御・リハビリテーションにおいて有望な進展があったことを指摘しました。しかしながら、このようなポジティブな進歩にも関わらず、男女差別や医療制度と予防接種への支援の確保の課題は依然として残っている、と述べました。ポリオを根絶するために国際協力が必要という今回の講演テーマは、日本の経済的な支援を得てポリオ根絶戦略を強化するというLIASONの考えそのものです。
LIAISONは今後とも、世界中のパートナーと協力し合い、ポリオ根絶に向け努力し続けます。