Project Echo ~ポリオの体験談 ①
Project Echo ~ポリオの体験談を次世代へ~ ① -長崎県でインタビュー
弊団体は、この度、ポリオウイルス根絶活動の国内における認知度を高めるため、新しいプロジェクトを開始することにいたしました。タイトルは「Project Echo ~ポリオの体験談を次世代へ~」です。
ポリオウイルスは、根絶まであと一歩という段階まで迫ってきましたが、パキスタンやアフガニスタンといった最後の常在国に加え、アフリカ地域での変異型ポリオウイルスの発生や、米国および欧州の環境サンプルからの変異型ポリオウイルスの検出は、根絶に向けた取り組みを強化する必要性を強調しています。しかし、世界中でポリオの症例が増加しているにも関わらず、また日本ではポリオ根絶後、定期的な予防接種が行われているものの、日本の若者の多くはポリオがもたらす深刻な影響について十分に知らず、この病気が現在も世界的な脅威であるという認識が不足しています。
弊団体のメンバー2人は、ポリオ根絶活動に携わる中で、親戚にポリオ患者がいることを知りました。これは、ポリオの影響が今もなお続いており、日本においても決して過去の話ではないことを示しています。実際、その団体メンバーの親戚の1人は現在も生存しており(詳細はこちら)、彼女の友人である数名のポリオ患者さんとともに、貴重な体験談を共有してくださる機会をいただきました。
本プロジェクトの最初の取り組みとして、弊団体は3月に長崎市障害福祉センター(もりまちハートセンター)を訪問させていただき、ポリオの患者さん6名にインタビューを行いました。症状の変化や、学校生活・社会人生活・ご結婚生活などで苦労されたこと、医療・福祉制度で改善していただきたいことなど、を中心にお話いただきました。多くの方々に共通していたことは、小学校時代に歩き方が通常でないことで、からかわれたり、石を投げられたりといった、いじめを受けていたことでした。また、日常生活では、階段を登ることが最も大変だそうで、”階段を2段登ると見える世界が変わる”という表現をされていた方もいらっしゃいました。さらに、骨の変形と手術についても多く言及されました。片方の足が麻痺をしていると、もう片方の足に負担がかかり、特に骨の発達が盛んな学童期に骨が変形するそうです。その変形を治療する手術を受けたことによる、その後の症状の変化について、それぞれの思いを振り返っていらっしゃいました。幼少期の写真を見せながら、友人との思い出や印象に残った先生、旅行先の話などを共有してくださった場面もありました。最後には、動画撮影という形で、皆さまからポリオ根絶活動に携わる方々への応援メッセージをいただきました。
写真:長崎在住カメラマンの山田聖也さん
翌日には、2名のポリオの患者さんと一緒に昼食を取りました。幼少期に通っていた養護学校での話をされていて、会話が進むに連れて、当時の友人や先生のお名前が次々と思い出され、昔の出来事がより鮮明になりました。また、現在は車椅子生活でありながらも、子供と親の介護を両立していることについて話しが進むと、”何度自分がもっと自由に動けたらなと思ったことか...”ととても悔しそうに涙ぐんでお話されたシーンがあり、とても印象に残りました。
その後、別のポリオの患者さんのご自宅に伺いインタビューをさせていただきました。幼少期は、足の麻痺に関わらず元気に遊んでいたそうで、はしごを登ったこともあったそうです。また、当時は松葉杖を簡単に入手できなかったため、自宅で作ることが多かったそうですが、竹で作ると特に雨の日はよく滑ったので、別の木で作ったという興味深いお話もいただきました。最後には「生きがい」についてお話しいただきました。病気や障害を持つ方々にとって、人と関わることや、若者が彼らの話しを伺って課題を発見し、改善に向けて動こうとする姿を見ることに、生きがいを感じ、希望を持てるとお話いただきました。
最後に、長崎県の国際ロータリー第2740地区2024-25年度、2025-26年度ガバナーの石坂様と2025-26年度ロータリー財団委員長の𠮷岡様にご挨拶をさせていただきました。石坂様と𠮷岡様からは、ロータリーの長年のポリオウイルス根絶に向けた活動についてお聞きし、本プロジェクトとの今後のコラボレーションの可能性について議論しました。
インタビューにご協力いただいた皆さま、そして貴重なお時間をいただいた石坂様と𠮷岡様に、心より感謝申し上げます。今後も本プロジェクトの発展に向けて尽力して参りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。