当法人の論文
当法人の論文『Progress in access and oral polio vaccine coverage among children under five years old in polio campaigns after the political change in Afghanistan』が、Journal of Infectious Diseases(JID)に受理されました。
この論文では、リエゾン シニアアドバイザーであるWrishmeen・Sabawoon博士を中心に、アフガニスタンにおけるポリオ監視システム、全国予防接種日(NIDs)、全国ポリオ根絶キャンペーンに関する各国固有のデータを分析しました。具体的には、政治変革前後の野生ポリオウイルス1型(WPV1)と伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)の症例数、ポリオ監視の実績指標、予防接種を受けられなかった子どもの数、政変前後のポリオ根絶キャンペーンの実施方法などが比較されています。その結果、アフガニスタンにおいて、政変後にポリオ撲滅が大きく前進したことが示されました。
ポリオは、ポリオウイルスによって引き起こされる感染力の強い疾患です。1988年に開始された世界ポリオ根絶計画(GPEI)は、最大規模の公衆衛生介入策の1つであり、1988年には125ヵ国以上で35万件発生していた野生ポリオウイルス(WPV)の症例数を、2023年には12件(アフガニスタン(6件)、パキスタン(6件))まで減少させるなど、大きな成果を上げてきました。世界的にポリオウイルスを根絶するためには、残る2つの流行国の1つであり、長期にわたる派閥間及び国際的な戦争により最も撲滅が困難な国であるアフガニスタンが、長年の主要な課題となっています。メディアでは、最近の2021年の政治的変化が、経済的困窮、人道的危機、医療を含むサービスの途絶と関連していると広く報道されています。
さらなる進展は、国際社会がタリバン政権と協力して国全体での家庭訪問型ポリオ根絶キャンペーンを実現し、国の保健システムを強化するためにより多くの資源が配分されるか否かにかかっています。ポリオのない状態を維持するためには、比較的強力な保健システムが必要です。リエゾンは引き続き、ポリオを含む感染症の根絶に向けて取り組んでまいります。
論文は以下からご覧いただけます:
https://academic.oup.com/jid/advance-article/doi/10.1093/infdis/jiae129/7640727?utm_source=advanceaccess&utm_campaign=jid&utm_medium=email#446432410